【不思議な話】公園の木が恐怖の果実をつけたお話

 実際にあった恐怖体験を小説風にアレンジしてみました。楽しんでいただければ幸いです。

丑三つ時の住宅地を散そ歩する

丑三つ時に散歩をするのが好きな解呪巫女【紅葉 水琉(くれは すいる)】は住宅地を歩いていた。

普段は子供たちや犬の散歩や出棺などでにぎわう住宅地の道も、今は暗くぽつりぽつりと明かりがはかなげに瞬いている。

涼しくなってきた風がヒュウと通り抜けていくのが気持ちよくて、いつもより歩みがすすんだ。

住宅地の中にある公園は、夜の影の中に沈み、風のせいなのかブランコがゆらゆらと揺れている。

キィッ キイッ

金属音が夜の闇に染みわたり、不気味な雰囲気をあたりに振りまいていた。

公園の闇の中に入った水琉は崖の縁から眼下に目を移した。

夜遅く。街の明かりは減ってはいるけれど、力強く瞬いている。

人の気配。

人の気配を感じて、水琉は振り向いた。薄透明の何かが揺れていた。それは視線の熱に耐えられなかったのか儚く消える。

公園に出た妖怪とは

ふと、公園の真ん中に立つ気にたくさんの気配を感じて、目を凝らす。

気配が強くなるその木に近づいた。

そこには・・・無数の生首が果樹の様にぶら下がっていた。

すべて男の顔。気の弱そうな男。怒っている男。顔をゆがめている男。一つとして同じものはない。すべての首がこちらを見てくるくると表情を変えていた。

それは水木しげる氏の描いた「タンコロリン」に似ていた。

ただ首の数がものすごく多く、その木は柿の木ではなかった。

タンコロリンは宮城県仙台市に伝わる柿の木の妖怪で、柿の木を取らずにおいているとタンコロリンと言う妖怪になると言い伝えられている。

見上げるような木に無数の生首が揺れる風景は、不思議なものを見慣れている彼女にとっても恐怖がわいてくるものだった。

そのわきをすり抜けて出口に向かう。こちらを見つめて視線を動かす生首たちの気配。

それを後ろに感じながら、足早に公園を出た。

翌日。その木は朝の光の中で、風に葉を揺らしながら静かに立っていた。

生首はもういなかった

 

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