こんにちは。前世占い師立花破月です。
今日は前世で出会った少年のお話を。私は前世当時吸血鬼でした。
男娼だったんですが、私を買ってくれたお姉さんがなんと吸血鬼。
「あなたが朽ち果てるのはもったいない。生きて私を探し続けなさい」
って言われたんですが、いまだに彼女は探し出していません。・・・きれいだったなあ。彼女。
といっても80年も吸血鬼でいられなかったのですけどね。生まれ変わって彼女に出会うことはできそうにないです。彼女は前世の世界で今も生きているかもしれないし・・・。
さて、私が前世で出会った少年は金髪碧眼の美少年。
教会で〈飼われて〉いて、聖職者たちの性奴隷でもありました。
彼と逃げて嘆願の末に吸血鬼にして数十年。その記憶はほとんどありません。
最後彼との思い出は、雪解けで黒っぽいところと白っぽいところがある山が鏡のように湖面に映る場所。そこに彼の綺麗な首を埋めました。
彼がどうして首だけになったのかなんて、何も覚えていません。ただ鏡のような湖面が美しかったことを覚えています。周囲も雪が解けてぐしゃぐしゃになっていたので、土はたやすく掘れました。
彼の名はもう覚えていませんが、魂の名はノエル。生まれた者。という意味。前世では気が付きませんでしたが、今世で出会い浅からぬ因縁に震えました。
彼の魂は唯一どんな神の祝福も受けていない異端でした。
神を作り出そうとした堕天使により作られ、追放されたもの。名はノエル。生まれた者とそれだけ。普通名は魂の使命を表すものなのに、彼の魂は「事実」しか与えられず。
それは彼が失敗作だったから。神でもなく人でもない。天使でも悪魔でも妖精でもなく何者でもない異端だったからです。
そしてノエルを作り出したのは、皇子の父親。吸血鬼だった過去は皇子の魂の前世(私が男だった時の前世は皇子の前世です)。
堕天使の思惑がうまくいっていたら、ノエルは皇子の役割をするはずだったんですよね。
すべての闇を束ね、すべてを破壊する。はずの役割。
だけどそうはいかなかった。ノエルの魂は流され、皇子が生まれました。この上なく価値のある者の名を持つ皇子が。
この世で出会って、皇子はノエルに祝福を与えました。ノエルはどんな神にも祝福されていなかったから、ものすごく不安定なものを持っていたんです。
前世で出会っていたときには、皇子としては生まれてなかったし祝福を与える力もなかったのでこの世でノエルと出会ったのは、彼の存在をいと高きものが許したのかなと思っています。
祝福を与えてすぐに、彼は私のもとを去りましたが。
彼の人生に幸多かれですね。闇に祝福を受けた何者でもない者。かなり異端ですが、私たちよりはずいぶんマシです。たぶんね